ガザ美講評 スパット・スパイト・ブラック・アンド・ホワイト
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今回紹介するのはガザ美小説の記念すべき第一弾「スパット・スパイト・ブラック・アンド・ホワイト」である。
著者はこの私ヤギ氏ではなくゼロナイン氏である。
あらすじ
甲殻怪人による残虐殺人事件の匂いを感じ取ったガザ美はクルマエビ科の甲殻怪人による同門対決に巻き込まれる!どうなるガザ美!
登場人物
ガザ美:主人公。ぼっちだったりもみあげ千切られたりエビに吹き飛ばされてそのままで不憫。
博士:情報提供係。写真をわざわざ外から持って来ている。多分警察から貰って来たのだろう。
クルマエビ:ガザ美より主人公してる。ゼロナインが考えたキャラでゼロナインが書いた小説なので当たり前である。海老拳と輪拳という奇怪な拳法で体格で勝るガザ美やブラックタイガーと渡り合う。
ブラックタイガー:クルマエビの兄弟子で黒虎拳なる怪しげな拳法を創始した。海老拳の派生らしい。体格や経験で勝り、マングローブ林に似た景観の竹林でフーリンカザンを得てクルマエビをあと1歩まで追い詰める。どことなく北斗の拳っぽい。
感想
ガザ美初期中の初期の作品(ガザ美誕生から一月ほど)でありまだ作者間(ヤギ氏・ゼロナイン、Gazer、ジャッカル等)での大まかな設定の統一がなされていないため博士の口調が「じゃ」とやけに老人めいた感じになっている。多分60歳か70歳くらいを想定していたのかもしれない。
しかし設定なんて面白きゃどうでも良くなるものでブラックタイガーとクルマエビの生態を利用して描かれた戦闘は見事であり著者の高い取材力が伺える。この手の甲殻類に詳しくなれる作品はヤギ氏が個人的に目指したいものでもあるので評価が高い。
異色としてメインはゼロナイン考案のクルマエビとブラックタイガーの対決に比重が割かれておりガザ美は中盤で吹っ飛ばされてフェードアウトしてしまう。あの後ガザ美はどうなったんだろうか?クルマエビらがガザ美にトドメを刺すシーンは無くその後の話でもクルマエビやガザ美はぴんぴんしているのでおそらく放って置かれたのだろう。ガザ美作品の時系列はよくわかっていないが。
目が覚めたら誰もいなくなっていたとなると結構後始末が大変そうである。ブラックタイガーは死んでるけどクルマエビはいなくなってるし。博士に説明するの大変そう。
個人的にはヤギ氏の好きな漫画家の事について劇中に登場してたのがニヤりとした。
ゼロナイン特有の緻密な戦闘描写や言葉遣いにより読み物としての完成度は高い。ガザ美入門編としては最適だろう。